書評『世界寿命と最初の七日間 -雨宿り街短編集-』

ラノべの情報

世界寿命と最初の七日間 -雨宿り街短編集-
著者: スズム
イラスト: くろのくろ
レーベル: MF文庫J

世界寿命と最初の七日間 ―雨宿り街短編集― (MF文庫J)

世界寿命と最初の七日間 ―雨宿り街短編集― (MF文庫J)

書評

 この本は2015年の3月31日に初版が発行されている。
 どうしてそんなことを書くのかといわれると、同じ年の2015年はスズムさん(この本の作者さん)関係で事件があったことを気にしている人もいることから、スズムさんが復帰してきたという勘違いを避ける目的で最初に書かせていただいている。
 僕はどちらかの肩を持つような記事を書くつもりはない(今更掘りかえすのはよくない)のでここでは純粋に目の前の小説のみで評価していく。

 短編集のため物語の要約を割愛して早速書評をしていくと、最初に気になるのは各物語の関連性だろう。短編を集めて1つの本にまとめるからには、何かしらの共通項があったほうがあるのが普通だろう。統一性がある短編集のほうが一冊通して読んだ時の読み応え的な評価は断然良い印象がある。今回読んだ本は、「誰しもが一度くらい思ったことのあるような願いが叶ってしまったら」というようなテーマで各物語が書かれていて、どの物語も過ぎたる願いによって自分自身を失うようなお話になっている。
 
 ただ、短編のため物語の起承転結がなく、ストーリーに厚みがない印象を受けてしまった。小説の内容としては面白いアイデアだなと思ったけど、各物語の主人公の心情の変化が急すぎたり、どうしてそういう願いが叶ってしまったのかという設定の部分だったりがうまく表現できてない文章だった。
 良い点を挙げるなら、文章が短く行間があるので活字慣れしてない人でもスラスラ読める点ですかね。

 ラノベの短編集はあまり聞かないのでそういった点ではこの小説には先駆的な意味合いがあったのかもしれませんが個人的には一冊分しっかりと作りこまれている小説のほうが好きでした。
 試しに読んでみる程度の気持ちで読むぐらいがちょうどいい読み方なのかな……。

 ちなみに各物語は曲を作った時のプロットからきているらしいので興味があれば聞いてみてはいかかでしょうか。





世界寿命と最初の七日間 -雨宿り街短編集- 

最後まで見ていただきありがとうございます。また別の記事でお会いできることを祈っております。



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